2013年7月2日火曜日

CPR Quality 3: 胸骨圧迫の深さ

CPR Qualityに関するAHA Consensus Statementについてです。

最近の研究によると、胸骨圧迫の深さは成人で44mm以上が妥当と考えられますが、実際には救助者の圧迫の深さが十分でないことが多数報告されています。50mm以上の深い圧迫により除細動成功・ROSCの率が改善し、38mm未満の浅い圧迫であるとROSCや生存率の低下と関連したとの研究結果があります。

ただ、至適な深さは様々な要素に影響されるものと思われます。例えば、傷病者の体格、環境(マットレスの有無など)、或いは、速すぎる胸骨圧迫は、目標の深さ(5cm以上)に達する割合が低くなる可能性がある、ということもその1つでしょう。従って、「深さ」単独の、アウトカムへの影響を評価することには限界があります。



上記の「44mm」や「38mm」といった具体的数値の記載はG2010にはなかったように思います。
成人に関し、「44mm以上の深さで押す」ことが重要とのデータがあり、かつ勧告より浅い圧迫となるのが常、とうことだから、「50mm以上」で押すように促す勧告は妥当ということなのでしょう。

胸骨圧迫の深さの上限について、ERCでは60mmとする一方でAHAのG2010では上限は設けていませんでした。このstatementにも、深さの上限の記載はありませんでした。マネキンが破壊されそうな強い圧迫をコース中散見しますが、個人的には多少不安を感じることがあります(苦笑)。でも、リコイルがしっかりされているなら、介入する根拠はないですね。
また、小児に関してはデータは不十分であり、乳児、小児ともに、胸郭の1/3以上押すことを目標とするのが妥当、との記載にとどまります。

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