2010年5月7日金曜日

とある質問2

2人法CPRにおいて、小児(乳児)と成人では胸骨圧迫と人工呼吸のサイクルが異なってきます(30:2、15:2)。15:2では十分な冠灌流圧がえら得ているのだろうか。また15:2 5サイクルで役割交代との記載もあるが、その場合、冠灌流圧はどうなるのか?といった疑問が、とあるMLで提示されました。(小児2人法は15:2で行いますが、役割交代は"2分毎"とAHAは推奨しています。)

以下のように考えていますが、良い御意見有る方はご指導下さい。

高度気道確保がなされていない場合の胸骨圧迫と人工呼吸のサイクル(30:2、15:2)は、循環(冠灌流圧)と呼吸(主に酸素化)のバランスに基づいて設定されています。
明確なエビデンスは無くbestとは言えないものの、現状でbetterなバランスと考えられています(コンセンサス)。
即ち、
15:2では、30:2ほど冠灌流圧を維持できない可能性がありますが、呼吸回数が多い分血液の酸素化は良好になり、トータルとしては呼吸原性心停止(小児、乳児)にはより良く働くことが期待され、
30:2では、15:2ほど酸素化は良好にはならない可能性はあるものの、より高い冠灌流圧を維持することができ、トータルとして心原性心停止(成人)にはより良く働くことが期待される、ということです。
5サイクルでの役割交代(頻繁な交代)は疲労が緩和される分胸骨圧迫の質の維持には有利かもしれませんが、交代による胸骨圧迫の中断が生じるとすると冠灌流圧維持には不利に働きます。この状況下での冠灌流圧の維持については、救助者2人各人の技術と、2人のコンビネーション次第としか言いようがない気がします。当たり前のようなコメントになってしまいました

3 件のコメント:

  1. 当たり前の事でも知らない人もいますから重要です!

    私のブログに先日記載させて頂きましたが、小児ではやはり人工呼吸が重要(心原性でなければ)と言う事です。今まではコンセンサスだったのですが、ちゃんとした研究で確かめられたと言う事です。それも日本から!

    http://kekimura.blog.so-net.ne.jp/2010-03-06

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  2. 救助者が二人の場合、15:2が『30:2ほど冠灌流圧を維持できない可能性がありますが、呼吸回数が多い分血液の酸素化は良好になり、トータルとしては呼吸原性心停止(小児、乳児)にはより良く働くことが期待され』るということは、救助者一人の時も15:2がよいと考えられるのでしょうか?

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  3. Kim先生、ブログ、論文紹介有り難うございます。勉強になります。
    t.aさん、コメント有り難うございます。大変鋭い御質問ですので、せっかくですから、ブログ本文に記載してみました。

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