2010年4月21日水曜日

カテ室で

心臓カテーテル室での話。
重篤なAMIなどの緊急カテの場合は除き、何らかの原因でVT、VFが生じた時でもすぐに電気的除細動を施せますので、復調直後に循環もすぐに回復し、胸骨圧迫を引き続き要することは稀です。ACLSインストラクターとしては、通常のアルゴリズムの通り、カテ室内でも電気的除細動の後はすぐさま胸骨圧迫をするよう推奨していますが、ほとんどの場合はすぐに止めることになります。

先日、PCI中にVFが生じました。十数秒のうちに電気的除細動を施し、すぐに胸骨圧迫をしてもらいましたが、(通常のACLSのプロトコールを逸脱しますが(苦笑))一瞬胸骨圧迫を止めると、除細動は出来ているものの圧は出ていなくて、なんとPEAでした。汗!。胸骨圧迫を継続!。動脈圧ラインでは収縮期圧ですが、100mmHgを超えるほどの圧を確認でき、恐らくは有効であろう良き胸骨圧迫を若者がしてくました。勿論AHA BLS,ACLSプロバイダーです! 胸骨圧迫をしていない時に冠動脈造影をしてみるとほとんど流れが確認できないものが、胸骨圧迫をしている時に造影してみるとそれなりに流れています。当たり前ですが、胸骨圧迫の有用性を視覚的に確認したような気分になりました。数分間の胸骨圧迫、アドレナリン1mgIVで、自己心拍は再開し、その後は問題なく経過しました。

ACLS-RのDVDにも解説されているように、集中治療室等モニタリングが充実しているような環境では通常のACLSアルゴリズムから逸脱する場合が当然あり得ます。カテ室もその一つです。しかしながら、スタンダードを抑えた上での対応であるべきであることを新たに認識しました。
胸骨圧迫の重要性も改めて実感しました。

4 件のコメント:

  1. そうですね。スタンダードを知った上での逸脱ですね。

    それを分かって頂けない若い先生も多くて困りますね。

    圧迫しながらのカテって、上手く写るんでしょうか?管球がじゃまで圧迫できない?手の骨で画像が見えない??

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  2. Kim先生、はい、その通りです。
    管球がじゃまで、質の高い胸骨圧迫は難しいです(苦笑)!手が邪魔で冠動脈の造影も今ひとつです。

    胸骨圧迫している方の被爆、という観点でも良くないことですよね。

    でも、冠動脈破裂を来たした状況だったので(がーん)、やむを得なかったんです。。。

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  3. 色々なリスクや不利な点を知った上で行うのは全く問題ないと思います。

    PEAなどのシナリオで心筋梗塞の症例を出すと、質問されます。心拍が戻らないときはどうするんでしょう??と。

    私はいつも圧迫しながらカテをする病院もありますといっています。どこの病院ですか?と聞かれたら先生を紹介してよいでしょうか?

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  4. Kim先生、有り難うございます。
    頻度は少ないですが、圧迫しながらカテすることはあります。心拍再開しないときは多くの場合はPCPS挿入となります。

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