2010年4月25日日曜日

第3回Japan Endovascular Treatment Conference(JET)

六本木ヒルズ(うふ)で第3回Japan Endovascular Treatment Conference(JET)が開催されています(4/23-25)。




23日金曜日から参加するつもりでしたが、日常業務が立て込み断念、本日24日土曜日からの参加となりました。頚動脈、腎動脈、大動脈、下肢末梢血管、、、、全身の血管病に対する血管内治療を主体とする学会です。治療技術や各種デバイスの進歩には目を見張るものがあります。日々進化しています。大変有意義な時間を過ごさせて頂き、感謝感謝です。
ただ、心配なのは、その治療適応です。仮にも"学会”のLive demonstrationなのですが、治療適応に疑問が残る症例が少なくありません。腎動脈狭窄、腹部大動脈瘤、下肢動脈狭窄、などなど、至適な治療対象とは思えない症例への治療を行っていました。
腹部大動脈瘤のビデオライブでは、慈恵の大木先生が鋭い指摘をしており、約40mmと決して大きいとは言えないような瘤で、しかも屈曲病変でステントの至適病変ではない症例、しかもしかもendoleakが残るなど完璧ではない仕上がりな治療に対して"犯罪行為”、"マスタベーション”とバッサリ切っていました。one straight lineが確立されている状態での更なる下腿血管へのEVTに対してはその治療への意義の無さを理論的に説明した後、”患者にとっては何の利益も無い、時間の無駄、術者にとっては趣味だからいいけど”(苦笑)。独特の大木節ではありますが、単なる暴言ではなく、理詰めの意見で、説得力がありました。以前、大木先生は自分のことを”インターベンション界の良心”と表現していましたが、その通りかもしれません。表舞台の学会、Live demonstrationという舞台でさえ、こんな感じですから、日々の臨床ではもっともっと不適切な適応での治療が行われていることは間違いありません。雑誌の症例数ランキングを重視するようなC県の某病院は驚愕するような黒いインターベンションを施行していることは皆知っています。患者への不利益、医療財政圧迫などにもつながります。現在の医療崩壊を助長している一つの因子とも言えます。
低侵襲な治療を拡大、普及させることは大変重要なことですが、あくまでも患者の生命予後やQOLを改善させる為に行うことであることを、常に思考の中心に位置づけていたいと改めて思いました。

2 件のコメント:

  1. ライブの後患者さんが亡くなった事例がありましたよね。

    ライブに出演する事は名誉なんでしょうが、患者さんのためですから、忘れないようにしたいですね。

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  2. Kim先生、有り難うございます。
    最近、ライブ開催もガイドラインが出来たり,かなりハードルが高くなっているようです。安易な、低レベルなライブは困りものですが、しかし、基本的には非常に良い教育的活動ですから現代医療においては絶対に必要なものと思っています。

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