2009年10月23日金曜日

アナフィラキシーショック

胸部大動脈瘤のfollowで造影CTを撮影した中年男性。今まで造影剤のアレルギーは全くなかったようですが、今回は造影剤投与後およそ3分程で嘔気、呼吸苦出現し、肺野で連続性ラ音著明、血圧測定困難となりました。SpO2も測定困難でした。アナフィラキシーショックです。自分はその場には居なかったのですが、居合わせた放射線科医や循環器後期研修医が対応しました。救急の医師に教えてもらいつつ、ソルコーテフ iv、輸液、エピネフリン筋注、H1,H2 blocker、エピネフリン吸入、グルカゴン等を投与、代謝性アシドーシス著明(pH7.17)でメイロンも使用しました。
何とか、循環、呼吸状態は回復傾向を呈し、事なきを得ました。よかったです。

自分だったら、どうしていたかなと想像しました。
先日ACLS-EPコースを受講したのに、もうすっかり忘れています(苦笑)。

ACLS Resource Textのアナフィラキシーの項をちょっと読み返しました。
高濃度酸素を投与します。上気道閉塞や重度の気管支攣縮により著しい呼吸不全に陥ることに備え気管挿管の準備をしておきます。早めの挿管を心がけることが重要です。挿管困難になったらかなり厄介です
エピネフリンは、全身的な症状を認める場合は全例投与します。エピネフリンは皮下注では吸収が遅いので、筋注がベターです。0.3-0.5mg投与し、臨床的な改善が見られなければ15-20分毎に繰り返します。
致死的徴候を呈している場合は、エピネフリンは静注します。0.1mgを5分程で静注します。頻回に繰り返す必要がある場合は、1-4ug/minで持続投与するとよいかもしれません。
補液は大量に必要かもしれません。1-2Lの急速投与、場合により4Lの急速投与が必要となるかもしれません。肺水腫のモニターも必要です。
抗ヒスタミン剤をゆっくり静注か、筋注します。
H2Blockerを経口投与か、筋注あるいは静注します。
気管支攣縮が前景に出ている場合は、β刺激薬吸入も考慮します。
ステロイドも静注しますが、効果発現には4-6時間要します。

その他考慮できる薬剤としては、重症低血圧に対するバソプレッシン、徐脈に対するアトロピン、β遮断薬内服患者などエピネフリンの効果が不十分な場合にグルカゴン(1-2mg IM or IV 5分毎)。
当患者もβ遮断薬を内服していた患者であり、グルカゴンを使ったようです。

自分としては幸い心カテの時など含め、ひどいアナフィラキシーに遭遇したことはありませんが、いつ遭遇してもいいように、知識の確認をする必要があると再認識しました。復習、大事です。

4 件のコメント:

  1. 私は先日インフルエンザの予防注射の当番でした。

    新型はアナフィラキシーが多いと言う噂もあったので、アナフィラキシーについて復習して望みました。

    コースの受講は知識を得る事だけでなく、Jさんのように本を読んで復習しようと言う意欲を持ってもらう事ですから、コースを受けた意義が充分あります!!

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  2. Kim先生、いつも有り難うございます。
    先生ほどの救急の大先生でも、アナフィラキシーについて復習するのですね。すばらしいです。

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  3. J先生、こんばんは。当直中のKimです。

    大先生だなんてとんでもないです。私はぺーぺーです。復習と言って本を読んでも、知らなかった、、、、(本当は忘れたのかも知れませんが)と言う事が沢山あります。

    お互い頑張りましょう!!ちなみに、私は年くって見えると思いますが、アラフォーです。

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  4. 自分もアラフォーです!

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