2009年9月15日火曜日

cardioversionのペースメーカーへの影響

ペースメーカー植込み患者に対するcardioversion。
ペースメーカーへの影響について、あまり深く考えたことはなかったのですが、ちょっと調べてみると結構興味深いです。
ペースメーカーへの悪影響はいくつかの機序があるようです。
cardioversionの電流がリードを通っても、最近は保護ダイオードなるものがジェネレーターを守ってくれるそうです。しかし、その分心筋側の電極にエネルギーが集中し、心筋外傷や熱傷が生じ得るようです。リード自体にも悪影響を来たすこともあり、これらによりペーシング閾値が上昇することがあります。cardioversion直後は問題なくとも、数日後に閾値が上昇したりすることもあるようで、時間をおいた後の閾値再チェックも推奨されています。

保護ダイオードがダメージを受けることもあります。ショックとショックの間は時間を開けて(例えば5分以上)、保護ダイオードを冷やし、ダメージを生じさせないことが望ましいとのこと。保護ダイオードが障害を生じることで、或いはそうでなくともジェネレーター本体に障害を来すことも当然あります。プログラムがダメになり、再プログラミングも不能になった例もあるようです。

ペースメーカーに依存している患者さんの場合は特に注意が必要です。
ずいぶん昔の文献ですが、ペースメーカー植え込み患者へのcardioversionにおいて、ペースメーカーへの悪影響で死亡に至ったcase reportもあるみたいです(Pacing Clin Electrophysiol 1979;2:462–464.)。こわいこわい。
不安定な病態でなければ、ペースメーカー植え込み患者に対しては薬物的cardioversionがよいのかもしれません。

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