2009年7月17日金曜日

不安定PSVT

寝たきりの超高齢者。担癌患者でもあります。意思の疎通もできず、御家族も一切の侵襲的治療を希望されていません。そんな方がQRS幅の狭い頻拍(HR170bpm程、RR間隔整)を呈し、血圧70-80/とショックになりました。ACLSで言う不安定頻拍です。心電図的にはPSVTが疑わしいです。不安定頻拍ですから一般的には電気的カルディオバージョンをまず考えます。でも鎮静かけて、呼吸が止まったりしたら気管挿管が必要になってくる可能性もあるし、でも家族は気管挿管はしないでほしいと言っています。対応した後期研修医は悩みました。電気的カルディオバージョンをしたいところですが、アデホスを使ってみてよいですか?と相談されました。
大変正しい考え方です。AHA ACLSプロバイダーマニュアルにも「狭いQRS幅のSVTがある不安定な患者には、同期下カルディオバージョンの準備中にアデノシンを投与する」とあります。ただし、極度に不安定な患者の場合は、アデノシン投与のためにカルディオバージョンを遅らせてはいけません。
この方の場合、アデノシン5mgを投与し無事洞調律に回復しました。血圧も130/ほどに上昇しました。
治療希望しないんなら、アデノシンもカルディオバージョンも不要なのでは、、、とも思いましたが。それでも何とかしてあげようとする後期研修医の正義感には感心します。

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