2009年6月13日土曜日

超高齢完全房室ブロック

徐脈、息切れ、下肢浮腫とのことで受診された患者さん。心拍数37bpmの完全房室ブロックでした。その他のバイタルサインは保たれていました。問診上は4月頃から息切れが増悪して、、、ということで恐らくその頃から発症した完全房室ブロックと思われました。2年前にも受診歴があり、この時は洞調律でした。
ACLS providerとしては、症候性徐脈で、かつ完全房室ブロックなら、TCPを遅れずに使用!、専門医へコンサルテーション!ということになります。それで全く問題ありません。
しかしながら、循環器内科の外来ではその限りではないわけです。経過や問診、診察所見等から急性のものか、そうでないのかを判断し、心電図の補充調律の安定性やQRS幅等から、ある程度のリスク評価をします。電解質異常もチェックが必要で、またACSや心筋炎など致死的疾患の潜在の可能性も常に気を使う必要があります。心臓超音波検査も速やかにできればなお安心です。
この患者さんも、軽い心不全を併発していますが、超緊急性はないと判断し、また諸事情あり外来対応としました。
AHA ACLSプロバイダーマニュアルの徐脈の項では「アルゴリズムの治療手順は、患者の症状の重症度によって決まる。」と記載されています。循環器内科医はこの重症度判断に長けているということだと思います。でも時々足もとすくわれて判断を誤ることがあります(汗)ので、慎重さを持ち続けることは重要と思っています。
この患者さん、医学的には恒久的ペースメーカーを入れるべきでしょうが、なにせ、95歳!(苦笑)。元気な方ではありますので、お勧めしましたが、ご本人はもう少し考えさせてくれ、と。でも100歳くらいまでたくましく生きていけそうな方でした。
超高齢社会に向け、今後もこのような方は増えるものと思われます(汗)。

0 件のコメント:

コメントを投稿