2009年6月8日月曜日

安定頻拍患者

当直中に動悸が主訴の中年女性が来院。動悸以外の訴えも特になく、脈拍以外のvital signは安定していました。12誘導心電図を記録したところ、HR170bpm、regular narrow QRS tachycardia。ACLSで言う、”安定した頻拍”です。逆行性P波がQRSの直後に確認できました。AVRTでしょうか、AVNRTも否定できません。いずれにしても静脈路を確保し、TCP付除細動器をそばにおいて、迷走神経刺激手技を試みました。息こらえをしてもらいましたが、全く効きませんでした。頸動脈洞マッサージは中年ゆえに避けました。アデホスを10mg急速静注、生食20mlで後押し、上肢挙上10-20秒、とマニュアルどおりに行いました。あ、マニュアルは6mgでしたね(笑)。いとも簡単に洞調律に回復しました。長いpauseも出ずにあっさり洞調律になったので、同席していた研修医に対してはimpressiveではなく、ちょっと残念。
ちなみに、投与時、PVCs2連発が1回でました(66%)。AFにはなりませんでした(1-15%)。(6/4アデノシン
AHA ACLSを最近受講した研修医と一緒に行いました。循環器医にとっては何てことない対処ではありますが、研修医にとっては貴重な学びの場です。講習で習ったことを現場でそのまま再現することで、理解が深まるし、正しい手技が身に付いていくものと思います。
現場で行うことをそのまま講習で行う、講習で行うことをそのまま現場で行う、そんなことをいつも心がけています。

この方、5年ぶりの発作のようで、ablationの御話もしましたが、希望なく、経過観察です。洞調律時の12誘導心電図は全くの正常で、Δ波もありませんでした。

0 件のコメント:

コメントを投稿