2009年5月28日木曜日

Asystoleの定義

Asystoleの定義としては、G2005ACLSプロバイダーマニュアルP162には”心室活動が認められないが、認められても6回/分以下である、いわゆる「P波心静止」では心房の刺激(P波)のみが存在する、P波が認められることはあるが、定義上R波があってはならない”と記載せされています。G2000プロバイダーマニュアルP119にも以下のような記載があります。”体表面電極からはなんら心臓の電気活動がみられないこと”、としながらも、いくつかのバリエーションを挙げております。”(1)P波のある心静止。心房の活動は残存しているが、心室が反応しない、(2)毎分6回未満の”瀕死の(agonal)”或いは”心室固有の”電気的波形群。”
総合して解釈すると、心室の電気的活動(QRS)が殆ど見られない波形がasystoleと言えそうです。今まで自分としてはこのように理解してきました。
ACLS Resource Textには”The word asystole means the total absence of ventricular contractile activity."とあり、ほぼ上の解釈と同様でしょうか。Up To Dateには、"Asystole is defined as a complete absence of demonstrable electrical and mechanical cardiac activity."とあります。これだと、心室のみならず心房を含めたあらゆる電気的活動が見られない波形と解釈できそうです。5月12日のブログのような、P波のみの電気活動は、asystoleの範疇には入らないことになります。
The Textbook of Emergency Cardiovascular Care and CPR P311には、”Asystole is difined as the absence of any electrical cardiac activity(either atrial or ventricular) for seconds to minutes or electrical activity that si so profoundly slow(perhaps seen as only a single QRS complex) that for all practical purposes it is a" straight line"rhythm."とあり、心房、心室双方の電気活動の消失と明記されています。更に、”It should be distinguished from bradycardia,complete AV block with ventricular asystole,and PEA."とあり、心室補充収縮の消失したP波のみの波形とasystoleは区別すべきと書かれています。
言葉の問題なので、あまり重要ではないのでしょうが、"asystole"はやや混然としてる用語なのかもしれません。ACLS Resource Textには、ventricular asystole、asystole、slow PEA、fine ventricular fibrillation、coarse asystole、Vf with an isoelectric vector that masquerades as asystoleなど類似した語群が羅列されており、これらの区別は臨床的には重要ではないと記載されています。

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